高校の頃、帰り道よく寄っていた本屋があった。
小学生の頃からもたまに行っていた本屋で、返本をあまりしないスタイルなのかアラレちゃんや武士沢レシーブなどの昔の漫画や諸星大二郎の過去作や田中圭一の過去作などニッチな漫画がたくさんあった。レジ前にある古い白黒映画のDVD売り場も見ていて楽しかった。また、お客さんが少なくゆったりと心落ち着かせて漫画を探せるのも良かった。とにかく、普通の本屋と違うその空間が好きだった。私はその本屋に訪れるたびに癒やされた。
私は高校生活が上手くいっていなかった。自分の匂いが気になる自己臭恐怖症という社交不安障害の症状の一種と、また、特定の人以外とじゃないと話しかけられても声が出せない謎の症状、加えて視線恐怖症(これは今も続いている)に悩んでいたのだった。そういった自分の症状を改善できない自分に真底絶望していた。
今でもたまに会う友達が居てくれて、どうにか高校に通えていた感じだ。
私は当時、週刊少年チャンピオンにハマっていて、毎週買っていたのもその本屋だった。また、当時好きだった『名探偵マーニー』、『囚人リク』、『暗殺教室』『東京喰種』『へ~せいポリスメン!!』などの新刊は必ず購入していたのもそこだった。
週刊少年チャンピオンが出るたび、コミックスの新刊が出るたびにその本屋に寄り、購入し、漫画を読み、その世界に浸り、楽しみ、辛い現実を和らげていたのだった。一種の現実逃避ではあるが、そのときの私には助けになった。
私は今とは違うアカウントで当時もTwitter(現X)をやっていたのだが、週刊少年チャンピオンや裏サンデーを読んでいる方々とよくお話させていただいていた。毎週、チャンピオンや裏サンデーの話で盛り上がりとても楽しかった覚えがある。それがまた、現実の辛い出来事を忘れさせてくれた。
まあ、今でもそうだが、現実よりネットの方にのめり込みやすいタイプなのだと思う。
大学生になって以降は、下宿に住んだり、家の引っ越しがあったりして、そこには全く寄らなくなっていたのだが、一回目の転職先の関係で、突然、実家に戻ることになったことがあった。まあ、それで色々あって一年で無職になったのだが・・・まあ、それはいい。
その無職期間に、ふとその本屋のことを思い出したのだった。実家からだと、車で1時間もかからないので、私は、久々にその本屋に行ってみることにした。
車を走らせ本屋を訪れると、レイアウト、古い洋画のDVD売り場は私が高校の頃と変わらなかった。店員のおじさんも一緒だった。ただ、少し古い漫画やニッチな漫画の量が減っていた。しかし、その場の持つ雰囲気は昔と一緒で私はあまりの懐かしさに興奮して無職期間なのに本を多量に購入した覚えがある。
その後、私は仕事の関係で再度引っ越すことになり、住む場所がその本屋には気軽に行ける距離じゃなくなった。そして、無職時に訪れたのを最後に私は二度とその店に足を踏み入れることは無くなってしまった。
二年ぐらい経ったある日、仕事(学童のようなところで働いていた)で、その本屋の近くを遠足するときがあった。私はまたあの本屋を見られるぞ!とウキウキ気分で子供たちを引率していた。
しかし・・・本屋の近くの歩道にたどり着き、いざ見ると・・・
そこに広がるのはだだっ広いコインパーキングだけだった。
私は喪失感を味わった。
書店数が1万店を割れたことが現在話題になっている。そういえば、私の好きだった書店はどんどん消えている。
大学生の頃、寄っていた西院駅の近くにあったあおい書店、四条大宮駅前のブックファースト・・・
私は、高校の時期通っていた本屋、やそれらの書店でもっと本や漫画を買うべきだったと後悔している。
できるだけ書店に行って本屋に行こうと今回思い立ったのであった・・・
辛い現実を忘れさせてくれたその本屋には今でも感謝している・・・


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